君が初めてその扉を開いた日、世界は少しだけ色を変えた。君は何気ない一歩を踏み出しただけだったけど、その瞬間、僕にとっては全てが新しく映ったんだ。君がそこにいるだけで、灰色だった僕の日常に、ぽつりと色が落ちたように。
僕たちは言葉を交わすたびに、少しずつ互いの世界を知っていった。君が笑うと、僕もつられて笑った。君が悲しむと、僕の心も痛んだ。君の喜びは僕の喜びに、君の悲しみは僕の悲しみになった。
だけど、僕たちの時間は永遠には続かないことを、僕たちは知っていた。君はある日、遠い場所へと旅立つと言った。君の夢を追いかける旅だと。僕は君の決断を心から尊敬し、支持した。だけど、心のどこかで、僕たちの日常が変わってしまうことへの寂しさを感じていた。
別れの日、僕たちは夕焼けを見ながら、これまでの日々を振り返った。言葉にならないほどの感謝と、これからの道のりへの祈りを込めて、互いに最後の笑顔を交わした。君が去った後、僕は変わらない日常へと戻ったけれど、君が僕の世界に加えてくれた色は、今も消えることなく、僕の中に残っている。
そして僕は知った。出会いとは、人生に色を加える奇跡のようなものだと。別れとは、その色を永遠に心に留めるための、切ないけれど美しい約束だと。
