宇宙の息吹がこの世に降り注ぐ夜、神秘的な光景が山々に広がった。空には、星々の輝きがこの世界の限界を超えて溢れ出し、冬の山脈には不思議な光が跳ね返っていた。それは、冬至の夜にのみ現れると言われる「星の祭典」の始まりを告げる光だった。
山の小さな寺院に住む老僧は、この夜を何年も待ちわびていた。彼の名はソライ。彼は星の言葉を解き、宇宙と対話する力を持っていた。寺院の外に出ると、ソライは手を広げ、無数の星々からのメッセージを受け取り始めた。
星々は歌うように語りかけ、彼らの知識と叡智、そして宇宙の秘密をソライに託した。この夜、地上に降り注ぐ星の粉は特別な魔力を持ち、ソライはそれを使ってこの世界に新たな生命の息吹を吹き込む儀式を執り行うのだ。
彼は古い経文を唱えながら、手の中に形作られた小さな光球を天に向けて放った。光球は上昇し、やがて爆発すると、無数の光の粒子が夜空に広がり、新たな星々を形成した。それはまるで星が生まれる瞬間を地上で再現しているかのようだった。
その光は山々を渡り、雪に覆われた木々を照らし、まるで昼間のように山を明るくした。そこにいた生きとし生けるものたちは、この奇跡のような光景に心を奪われ、静かにその美しさに酔いしれた。
老僧ソライは、この「星の祭典」が人々に夢と希望を与え、宇宙の永遠のサイクルを感じさせることを知っていた。そして彼は、この光景が永遠に続くように、また来年も同じ奇跡を起こせるようにと願いを込めた。
星の祭典の夜は明け、ソライは寺院に戻り、星々との深い絆を心に刻みながら、次の冬至の夜までその記憶を大切にしまっておいた。
