ある村に、心優しいが貧しい少年が住んでいた。彼の名前はヨシ。ヨシの家族は貧しく、豪華な贈り物を交換するようなことはめったになかった。しかし、ヨシはいつも心からの感謝を込めて、自分ができる範囲の小さな贈り物を家族や友人に贈っていた。
ある年の冬、村の豊かな商人が、村のすべての子供たちに贈り物をすると発表した。子供たちは皆、わくわくしながらその日を待ちわびていた。ヨシも例外ではなかった。しかし、贈り物を配る際、商人は数を数え間違えてしまい、一つ贈り物が足りなくなってしまった。
ヨシは自分が贈り物を受け取っていないことに気づいたが、周りの子供たちが喜んでいる姿を見て、「僕は大丈夫です。他のみんなが幸せなら、それでいいんです」と静かに言った。商人はヨシの言葉に心を打たれ、何とかしてヨシにも贈り物を渡そうと倉庫を探したが、見つかったのは古くて壊れかけたおもちゃだった。
商人は躊躇ったが、ヨシにそのおもちゃを見せ、「これしか見つからなかった。こんなものを受け取っても困るかもしれないな……」とおもちゃを倉庫に戻そうとした。「いいえ、わざわざ探してくれてありがとうございます」ヨシは、商人にお礼を言って、その壊れたおもちゃを受け取った。
家に帰る途中、ヨシは壊れたおもちゃをじっと見つめ、ふと思いついた。家にある工具を使って、このおもちゃを修理してみることにした。何日かかけて慎重に修理をした結果、おもちゃは以前よりもずっと素晴らしいものに生まれ変わった。ヨシはそのおもちゃで遊び、以前にも増してそれを大切にした。
数日後、商人が村を訪れ、子供たちが贈り物をどう思ったか尋ねた。他の子供たちはすぐに飽きてしまった新しいおもちゃや衣服について話したが、ヨシだけが自分の贈り物に満足していると答えた。商人が理由を尋ねると、ヨシは修理されたおもちゃを見せ、「このおもちゃを直す過程で、物事の価値は見た目だけではないことを学びました。これは僕にとって、とても大切な贈り物です」と答えた。
商人はヨシの言葉に深く感動し、村の人々に、物の価値や幸せについての大切な教訓を教えてくれたヨシに感謝した。それ以来、ヨシは「賢い少年」として村中に知られるようになり、壊れたおもちゃがもたらした意外な幸せが、長く語り継がれることになった。
