天変地異が頻発し、人々が恐怖に震える世界に、伝説のドラゴンが現れた。彼は人間界に力を貸しにやってきたが、その強大な力に目をつけた人々は、欲望のためにドラゴンを利用しようと企てた。
ドラゴンは当初、人間の苦しみを和らげるために力を貸すことに何の疑問も持っていなかった。彼は災害を鎮め、世界を救うことに生きがいを感じていた。しかし、人間たちが自らの力を他国を侵略する手段や、無尽蔵の欲望を満たすために利用しようとする姿を目の当たりにするにつれ、ドラゴンの心は次第に冷えていった。
彼は人間の持つ欲望や争いの本質を理解しようとしたが、その試みはやがて失望と怒りへと変わっていった。人間たちの行いを見ているうちに、彼らが持つ欲望がこの世界を滅ぼす原因であると結論づけるに至った。
その日、ドラゴンは冷徹な決断を下した。世界を救うためにやってきたはずが、最終的にはその手で人間を滅ぼす存在となる決意を固めたのだ。彼は強大な力を解き放ち、人間たちを一掃し始めた。
空は暗雲に覆われ、ドラゴンの怒りが天に響き渡った。彼の炎は村々を焼き尽くし、城は瞬く間に灰と化した。人々は恐怖に震えながら逃げ惑ったが、ドラゴンの力は止められるものではなかった。
かくして、世界は再び平和を取り戻したかのように見えたが、その代償はあまりにも大きなものだった。ドラゴンは人間の欲望が引き起こした災害を終わらせたものの、彼自身が新たな災厄をもたらしたのだ。
ドラゴンは孤独に世界を見渡した。彼が望んだのは、人間と共に生きる調和の取れた世界だったが、結局のところ、彼はその夢を叶えることができなかった。彼の瞳に映るのは、自らの手で滅ぼした世界の残酷な現実だけだった。
